Smiley face
さとのば大学の入学式で記念撮影。右端が2年目を迎えた宮原桃花さん=2024年4月11日、長野市、上野創撮影
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 1年ごとに別の地域に移住する「さとのば大学」の学生は、知らない土地で一人暮らしをすることが大前提です。国の認可を受けておらず、できて間もないので実績や知名度が低いといった弱点もあります。送り出した学生の親たちはどう感じているのか、話を聞きました。

自己表現する娘に驚き

表現する娘に驚き

 札幌市の宮原祐輔さん(44)は昨年6月、オンラインで「さとのば大学」の学生による中間報告会を見て驚いた。

 入学後、秋田県五城目町に移住した長女の桃花さん(21)が、画面のなかで堂々と発表していた。繰り出される質問にも、アドリブで的確に答えている。

 「こんなに自己表現する子じゃなかったのにな。3カ月でずいぶん変わった」

 2023年3月までは浪人生だった。現役のときから、本州にある大学のデザイン系の学部を志望した。新千歳空港から一人で飛行機に乗り、総合型、学校推薦型、2回の一般選抜と計4回、同じ学部を受けたが不合格だった。浪人し、同じ学部を受けたが、パスできなかった。

 相当なショックを受けていたはずだが、見守ることにした。

 「2浪か、別の道か。本人がどう言ってくるか待とう」

 祐輔さんは高校教諭で、進路指導を担当したこともある。

 行きたくない大学へ進学して、モチベーションが上がらず、やめてしまう子たちもいた。娘には、不全感を抱えて4年間を過ごしてほしくないと思い、黙って見守っていた。

 3月末、桃花さんは「ここに行きたいんだけど」と言って、さとのば大学の資料を出してきた。

 ネット上で以前に見つけて心に残っていたという。

 「移住して学ぶ」「オンラインでの講義と地域での実践を組み合わせる」「自分でプロジェクトを決めて取り組む」などの特徴があるという。

 さとのば大は、勤務校と探究学習で関わりがあったので存在は知っていた。ただ、具体的な仕組みや教育方法については何も知識がなかった。

 仕組みなどを初めて知って…

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